二重人格神様~金と碧の王~

あまりにも聞きすぎて、心が疲れたのかもしれない。


真っ黒い世界で聞こえる声は、だんだんと事実だったんだ。と、思わせてくる。


私の過ごした時間が間違いで、これが事実なんだって。わたしは望まれた子じゃなかった。

お父さんはお母さんを捨てたんだった、こと。そして、さっき見た…お母さんは、自らその命を投げ出したこと。


どうして、知らなかったんだろう。どうして、かくしていたの?


いや…そんなの決まっている。お父さんは私を愛していないから、都合の良いように作り変えたんだ。


前に言っていた、おばさんとおじさんの記憶をいじったって。それと同じか…。


どうして、どうして…もう、いやだよ…。


『消えて…こんなの、消えて、よ』

そう、頬を伝わる涙と同時に呟いた時だった。


『楽になる方法が…あるわよ』

『…え?』

どこからか聞こえた声に目を開けると、そこは真っ暗な世界ではなかった。


対照的な真っ白い世界。何時の間に…そう思うのもつかの間、突然伸びてきた腕が私の首にまわりそのまま抱き付かれた。


『…え』

『大丈夫。恐くないから…私が誰だか、わかる?』

聞いたことある声。いや、そんなものじゃない。恐る恐る振り向けば、そこには私がいた。

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