二重人格神様~金と碧の王~

『あの、あなたは…』

『俺は、未来の子。また、きっと会えるよ。だから、信じてあげて、君のパパを』

『ま、待って』

手を伸ばすもの、その手がその子に届く事はなかった。次第に暗くなっていく世界に無駄にも手を伸ばすと、その手が掴まれる。


『…あ』

『大丈夫だから、信じて。じゃないと、俺に会えない』


幼いながらも力強い手に引かれると、一瞬で暗闇から抜け出し光に包まれた。


温かい光…この光はなんだろう。眩しくて、前が見えない。でも、その先になにがあるの?


いや、何があってもいいや。ここから、出ないといけないから…


眩い光の中、必死に目をあけると、その先に私を見下ろす影が見えた。

「……ん」

「…あ」


私の声に反応するように声が聞こえ、次第にはっきりと見える景色とその影の人物に、肩の力が抜けるような気分がした。


「アレ…ス?」


そう、目の前にはアレスがいた。


重い身体を起こし、まじまじと見つめる。そこにいたのは、アレスに間違いない。

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