二重人格神様~金と碧の王~
「あ、あれ…なんで、アレスが?」
痛みが走る頭部を押さえながら言うと、少しほっとした表情をこぼす。
「いのり様の事が心配で…様子を見に来ました」
「そ、そうなんだ…ごめんなさい。心配掛けて…」
「いえ、そんな…事、ありません」
「……」
無意識に、視線だけ周囲を見渡した。彼は…来てくれたのかな?って。
でも、周囲には誰もいない。さっき見た、夢が頭をよぎる。やっぱり、私は必要ないんだ…。アレスに様子だけ見させに来て、捨てるつもりなの?
暗い表情の私にアレスは何かを感じたのだろう。取って付けたような口調で言い放つ。
「あ…その、グレン様も心配しています。その、事情がありまだ来られないですが…時期に迎えに行くと仰っていました」
「…そ、う…」
アレスのフォローがなんか逆に悲しくなってきちゃう。どうせ…迎えになんか来てくれないのに。
「いのり…様?」
「あっ、ごめんなさい。そ、その…お、驚いたでしょ?私が…半神だなんて…」
少しアレスから離れ、視線を合わせないまま金色の髪の毛をいじる。緊張を落ち着かせるような仕草にアレスも同じように自身の髪に触れた。
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