二重人格神様~金と碧の王~
アレスは少し苦笑いをすると、そのままベッドの横に腰をかける。
「いのり様、汗をかいていますよ」
手で額についた髪を払い、そのまま布で首に伝う汗をぬぐう。恥ずかしいけど…力もなくて…抵抗は出来ない。
「あ、ありがとう…」
「いえ。それにしても、黒い髪も美しいですが…この髪も素敵ですね」
「…そ、そう?」
どうしたんだろう…なんか、珍しいことを言うんだから。でも、褒められて嫌な気分じゃない。
「はい。海鈴様もグレン様も、きっとそう思いになります」
「そんな事…きっと、ないよ」
彼らは半神のわたしなんて…好きじゃないんだもん。ううん、最初から遊ばれていたんだもん…好きじゃないも…ないか。
「何を言いますか、どんな姿でも彼らはいのり様を思っています。きっともう直ぐ、迎えに来るはずです」
「…そんな嘘、言わなくてもいいよ。分かっているから…」
私の言葉に、アレスは唖然と固まる。意味がわからない。そう言いたそうな顔で私を
見つめた。
「嘘など…いのり様に私が嘘をつくと思っていますか?」
「思って…ない、けど。だって、聞いたんだもん…」
「…なにを、ですか?」
だから、それは…
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