二重人格神様~金と碧の王~

「海鈴さんもグレンさんも、私を利用して…弄んだ…って、あっ!」

また、痛みがきた。その言葉が痛みを誘発したかのように激痛が襲いその場で悶える。


「いのり様!」

力強い手で手を握られ、思わず握り返すとアレスは顔を歪めた。自分でも想像以上に力強い力。

身体を突き刺す痛みに、また意識が飛びそうだ。いやだ。また、あそこに行くの?もう、聞きたくなんかないのに!


お父さんの事も、彼らの事も、もう聞きたくない。


「わかった…から、やめて」

『さぁ、こっちにおいで』

声がまた聞こえる。ワタシの声に耳を塞いだ。でも、脳内に響く声はとても鮮明でそんな行為は意味がない。

「い…の…り、様!」

アレスの声もだんだんと聞こえなくなる。もう、だめ…。

そして、また、私の意識は飛んでしまった。



***


「…」

いのりが意識を失ったあと、アレスは苦しむいのりを前に苦い顔をしていた。

(さっきの言葉は…どういう意味だろうか)

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