二重人格神様~金と碧の王~


利用して、弄んだ。そんな言葉が彼女の口から発せられるなんて思ってもいなかった。


(いのり様はどうしたんだろう…あれだけ、彼らを愛し信じていたのに…)

はっきりとした拒絶の言葉にアレス自身も同様をかくせなかった。

これが、覚醒してしまった報いなのか。こんなことになるのなら、あの時夜会になんていかなけれ良かった。だが、後悔してももう遅い。

アレスは考えた。この状況をどうすればいいのか。だが、あのグレンの様子を見るからに動くことはないだろう。


(めんどくさい王だ…)

ほっておいてもいいのかもしれない。だが、やはりそれは駄目だろう。

(この少ない時間だが、いのり様は沢山のものを与えてくれた。だから、今度は…)

そう思い、布団をかけなおしアレスは出口に向かって歩きだしたのだった。

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