二重人格神様~金と碧の王~
うそ…あのワタシは亡くなった魂だったなんて…。危なかった…もう少し遅ければ、わたしはもう…。
考えれば、怖くなった。震える手を握ると、その手を包むようにお母さんは手を握った。
『本当に会えて良かった。ずっと、会いたかった…とても大きくなったわね』
『あの…本物、だよね?』
『本物…えぇ、そうよ。でも、本物の肉体はないから、本物ではないかもしれない。そしれしても、本当に…シャカに貴女を任せて良かった』
ほっと安心した顔に私は思う。
会えたことは嬉しい。だって、亡くなった人に会えてこのように会話をすることなんて、普通では出来ないのだから。
それでも、良かったって…お父さんに、あんな事を言われて悲しんでいたのに?
表情を暗くした私に、お母さんは首を傾げる。
『いのり?』
『どうして…そんな事を言えるの?』
『え?』
『だって、お父さんはお母さんを傷つけた、のに?』
遊びだったって。最初から、愛してなんかなかったって…。
『…傷、つけた?シャカが?』
少し考えるように頬を触り、天を仰ぐ。「うーん」と声をあげ口を開く。