二重人格神様~金と碧の王~
どうして、なんだろう…わたしは、いつの間にか、そんな感情を忘れていた。
沢山のものをみたせいだろうか。いや、違う…私のこころが弱かったんだ。
涙が零れた。そして、どうしようもなく、会いたくなった。
海鈴さんとグレンさんに会いたくて、会いたくて、とても苦しい。
『いのり…』
『あい、たいよ…』
『…えぇ』
『私はバカだよ。あんな映像に惑わされて、本当に信じなくちゃいけない彼らの事を…疑った。お父さんの事だってそう!』
『…うん』
『信じていたのに…わたしは…わたしは…うっ』
泣き崩れる私をお母さんは強く抱きしめる。背中をなで、すすり泣く私を包み込む。
『信じることって、簡単そうだけど、とても難しいわ。でも、今は貴女がすごした時間の記憶を信じなさい。彼らは…あなたを愛しているから。無論、シャカだて、そうよ?』
『…っ』
『これ、言ったら怒られるけれど…シャカは貴女が産まれた時、嬉しくて「嫁にはやらない」なんてずーと言っていたのよ?』
『…そんな…』
『それ程、大切にしているの』
わかっている。お父さんと過ごした時間はとても楽しかったから。
『うん…』
。