二重人格神様~金と碧の王~
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いのりが去っていた方を彼女はずっと見つめていた。姿が闇で見えなくなるまで見つめ、肩で息をはく。
『…いのり…』
少し寂しさが含まれた声が響くと、彼女の背後から手が伸ばされそのまま肩に回る。
『…どうだ?大きくなっただろう?』
『うん…』
その手の主はシャカだ。二人で並び、いのりが見えなくなった方を見つめたまま彼女は言う。
『連れて来てくれて、有難う。おかげで、話すことが出来たわ』
『…あぁ』
実はいのりを連れて行った屋敷は、彼女の魂が眠っていた場所だった。
同じ力を有するいのりの夢に肉体があるシャカは入れない。だから、魂だけの彼女にいのりを託したのだ。
上手くいったことに、彼らはホッと息をつく。
『それにしても、本当に大きくなったのね。見られてよかった…もう、思い残す事はないわ』
『…そんな事、言うな』
彼女の身体をシャカは抱く。また、彼女もその身体に手を回した。