二重人格神様~金と碧の王~
決心
***
お母さんに促されるまま、私は暗闇の中を必死にもがいた。彼らに会いたい思いだけで、真っ直ぐ歩くと、少し先に光を見た。
やっと抜けられる。そんな思いで足を速めると、だんだんと大きくなる光。
手を伸ばし、早めた足で走ると、水中から水上に上がってくるようにパッと目が覚めた。
「…あ」
身体は少し重いもの、異様に意識だけはハッキリしている。そして、先ほどのことを…鮮明に覚えている。
お母さん…きっと、もう会えることはない。けれど、こんなにも温かい気分なのは…なんでだろう。
「ありが、とう…」
そう、呟き、身体を起こすと、ある違和感に気付く。
「…あれ?」
どうして、目が覚めた時に分からなかったんだろうか。ベッドで眠ったはずだったのに、私は同じ場所にはいない。
そこは、見たことのある場所。この廊下、壁、天井、窓から見える景色。
ここって…海鈴さんのお屋敷、だよね?
どういう事だろうか。だって、私は…お父さんの世界にいたはずなのに…
少し戸惑いながらも、起き上がる。すると少し身体がゆれ、反射的にベッドに手をつく。