二重人格神様~金と碧の王~
だめだ…もう、これ以上は歩けない…。
そのまま崩れるようにしゃがみこみ、壁に身体を預ける。
いつも、そう。この不調は突然やってきて、私を苦しめる。楽な気分の時はほんの一時で、すぐに痛くて、怖くて、おかしくなりそうだ。
だんだんと呼吸も苦しくなり、胸元の服をつかむ。肩で呼吸を繰り返し、その場に倒れこむと、少し遠くから声が聞こえた。
「…」
いのり!と、私の名前を呼ぶ声。あいまいな意識の中、聞こえたその声の主が誰かなんて、すぐにわかった。
足音が聞こえて、そっと私の身体を抱く。暖かくて、とても落ち着くこの腕は…。
「グレン…さん?」
そう、グレンさんだった。
「お前…なんで、こんな所に…部屋で眠っていたはずだろ?」
目の前に、グレンさんの姿がはっきりと見えた。疑った瞬間もあったけれど、愛しくて、会いたかった。
「よか…った…」
「いのり?」
その声に安心した私は、そのまま…また、眠ってしまった。