二重人格神様~金と碧の王~
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それは、数日前に遡る。
いのりがシャカの娘だと発覚した後、グレンはその詳細をアレスやフェイランに話した。
迎えにいかないのか?そんな言葉を「権利がない」とあしらったグレンはそのまま部屋を出た。
そして、ただ黙って歩き、辿り着いたのはいのりがいた部屋。
部屋の明かりもつけないまま入り、そのままベッドに身を投げる。銀色の髪の毛がまい、美しい金色の瞳に月が写る。
そして、一滴の雫がベッドを濡らす。
グレンはいのりの事を考えていた。いのりがシャカの娘だった。半神だった事はとても驚いたが、そんなのは大した問題ではなかった。
今までのシャカの態度や言動、父親が見つからない事を考えれば、納得できたからだ。
だが、グレンがこんなにも悲観になっているのは、いのりを守れなかったこと。
守りたかった。自分の心に、入ってきた愛しい女を守れなかったのだ。それどころか、いのりはグレンをかばい、倒れてしまった。
いのちの心配は大してしてないが、自分の弱さといのりが消えた失踪間にグレンは魂のない人形同然だ。