二重人格神様~金と碧の王~
終着点
・・・
「いのり!また、こんなところにいたのか」
「あ、海鈴さん…」
そこは、屋敷の最上界にあるバルコニー。深界を一望できる場所に私はいた。
少しだけ肌寒い風にあたりながら、何か物思いにふけていると、背後から聴こえた声にふりむくと、そこには海鈴さんがいた。
「全く…まだ、体調が完全じゃないんだ。一人で外に出るのは駄目だとあれだけ注意したのを忘れたのかい?」
少し頬を膨らまし、声を低くして私に近づくと、そっとその手を握る。とてもいい香りが鼻を掠めると同時に抱きすくめられ私は彼を受け入れる。
「ご、ごめんなさい…」
「さっき、アレスが部屋に行ったらいないから、焦ったようすで報告に来たんだ。外の空気を吸いたいのなら、僕でもアレスでも、フェイランでもいいから言いなさいと何回も言ったはずだが?」
「あ、えっと…で、でも…みんな忙しそうだったし…悪いかなって…」
「倒れられたほうが、迷惑だよ」
うう…もっともな事を言われて、返す言葉も見つからない。
「ところで、話は変わるけど…体調はどうだい?」
「あ…はい。とてもいいです…数日前の不調が嘘のように元気です」
「そうか…」
数日前、目を覚ました私の前に海鈴さんがいた。なにか、とても長い時間悪夢を見ていた気がするけれど…目を開けた時、その夢がなんだったのか…私は覚えてはいなかった。
「いのり!また、こんなところにいたのか」
「あ、海鈴さん…」
そこは、屋敷の最上界にあるバルコニー。深界を一望できる場所に私はいた。
少しだけ肌寒い風にあたりながら、何か物思いにふけていると、背後から聴こえた声にふりむくと、そこには海鈴さんがいた。
「全く…まだ、体調が完全じゃないんだ。一人で外に出るのは駄目だとあれだけ注意したのを忘れたのかい?」
少し頬を膨らまし、声を低くして私に近づくと、そっとその手を握る。とてもいい香りが鼻を掠めると同時に抱きすくめられ私は彼を受け入れる。
「ご、ごめんなさい…」
「さっき、アレスが部屋に行ったらいないから、焦ったようすで報告に来たんだ。外の空気を吸いたいのなら、僕でもアレスでも、フェイランでもいいから言いなさいと何回も言ったはずだが?」
「あ、えっと…で、でも…みんな忙しそうだったし…悪いかなって…」
「倒れられたほうが、迷惑だよ」
うう…もっともな事を言われて、返す言葉も見つからない。
「ところで、話は変わるけど…体調はどうだい?」
「あ…はい。とてもいいです…数日前の不調が嘘のように元気です」
「そうか…」
数日前、目を覚ました私の前に海鈴さんがいた。なにか、とても長い時間悪夢を見ていた気がするけれど…目を開けた時、その夢がなんだったのか…私は覚えてはいなかった。