二重人格神様~金と碧の王~
そう呟き、海鈴さんは私を引き離し、自身の心臓に手をあてた。

「いのり?」

「ぐっす…う…は、は…い」

私の手を反対の手で取ると、そのまま膝をつく。そっと、指にキスをおとし私を見上げた。

「彼…彼は僕の兄だった。だから、僕は兄様の分まで生きなけばならない。この世界と、アレス達やグレン…大切なキミを守っていくよ」

「…海鈴、さん…」

「それが、彼との約束だから…兄様が愛したいのりを…守っていく…」

「え?」

いま、なんて言ったの?よく聞こえなかった言葉を聞き返そうとすると、そのまま私の腰を引き寄せ、腹部に抱き付き耳を当てた。

「…あ」

「そうだ。この子も、守っていくからね」

「…え?」

ドキッと胸が高鳴った。

「海鈴さん、知っていたんですか?」

実は、二日前にフェイランから私のお腹には子供がいるという事をきいた。海鈴さんは知らないと思っていた。驚かせたくて、黙っていたのだ。

「知っていたよ。そういう事には、少し敏感なんだ。それに…思いあたるふしが…あったから…」

「あ…」

その言葉に顔が赤くなるも、無理はない。

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