二重人格神様~金と碧の王~




「相手は…だれ?」

「そ…れは」


言えない。貴方の中の、貴方だなんて。


フェイランさんに、言うなと言われたんだから。

黙る私に、海鈴さんは動揺することなく、言う。


「ライにされた?」

小さく首を震る。

「それなら、あの、じじいに?」


「違い…ますっ」

「なら、屋敷の誰かい?まさか、アレス?」


"違う"と、何回も首を振った。


「なら、誰?」

「言え…ませんっ」

言えないよ。絶対に。


必死に否定する私に、海鈴さんは瞳を細めた。


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