二重人格神様~金と碧の王~
「そう…言えないのか。わかったよ」
「…あっ」
身体を離し、私を見ることなくベッドから立ち上がり彼はドアに向かって歩く。
「か、海鈴さん?どこ、に?」
不安が過った。その背中が何故だか切なく見えて、小さく声を掛ければブルーの瞳が私を写した。
「部屋を別にしようか。いのりにそういう彼が出来たのなら、僕は何も言えないから」
「ま、待って…ちがう」
違うのに。ボタンを外された服の胸元を掴み慌ててベッドから起き上がれば彼は背中を向けた。
「いいよ。いのりに、そういう人が出来たのなら、仕方がない。君も、僕から離れていくんだね
「…あ」
切なく呟く、その台詞に私は勢いよくベッドから降りその広い背中にしがみついた。
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