二重人格神様~金と碧の王~
「え…い、のり?」
前のボタンが外れているせいか、肌に伝わる彼の背中が熱いのがよくわかった。
その背中を離すものかと、力強く抱き締める。
「い、いのり…離して。それは、ちょっと…」
わかっている。私だって、とんでもないことをしているって思っている。けれど、この手を離したくない。
「…やだ」
更に力を込めると、その手を海鈴さんが握る。
「駄目だよ」
「やだ。だって、この印を付けたのは…私の大好きな人なんですからっ」
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