二重人格神様~金と碧の王~
ギュウと少しの隙間も残さぬよう、肌を押し付ける。
「好きなのは、海鈴さんです。私の心臓の音が聞こえませんか?この印も、全部!海鈴さんです!」
「あ…う、ん。伝わってるよ。照れるけど…けど、僕はしてない」
回した私の手に自身の手を添えると、彼は言う。
「どういう、意味?まさか、寝ぼけて手を出したかな?僕はしてないけど、僕がしたってことは…僕は、知らないわけで…」
「…はい」
「それは、知らぬうちに……って、まさか」
数秒の沈黙のあと、彼が私の手を掴み振り返ったと思えば、肩を掴まれる。
「あいつに、グレンに会ったのかい!?」
海鈴さんらしくない声に、私は迷うことなく、頷いた。
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