二重人格神様~金と碧の王~



そのおかげで、雷は全然怖くない。寧ろ、いつ光るかドキドキする。

迷うことなく頷けば、海鈴さんが「へぇ」と唸った。



「そう。女の子は嫌いって概念があったよ」

「なんですか、その概念」


「経験上ってこと」

「経験…?」


何気ないその言葉に少し胸が痛む。


それは、過去に経験した子が嫌いだったってこと。


海鈴さんは優しいから、きっとその子達を抱きしめたに違いない。


考えれば考えるほど、胸がモヤモヤする。視線を反らし、そのまま私は言う。


「怖がったほうが、可愛いですか?」

「え?」

「雷、嫌いって」


ぎゅうと彼の腕にしがみ付くと、海鈴さんは一瞬黙りこみ、そのまま私を抱きしめた。


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