二重人格神様~金と碧の王~
「少し、大事な話をしていいかな」
「…え?」
大事なはなし?少しだけ、本当に少しだけ…海鈴さんの声のトーンが下がる。
何を言われるんだろう、そう、思いながら頷くと、彼はそのまま髪の毛を耳にかけ、窓に手を添えた。
「グレンのこと…」
「グレン?あ、グレン、くん?」
「そっちじゃなくて、俺のグレンのこと」
「…あ」
それって、金色の瞳をしたもう一人の海鈴さんのことだろう。
「フェイランから、少しは聞いたみたいだね。今日さ、そのこと聞いた」
「そう、なんですか」
言ったんだ。それなら、きっと…あの牢獄で起きたこともだろう。
・