二重人格神様~金と碧の王~



「少し、大事な話をしていいかな」


「…え?」

大事なはなし?少しだけ、本当に少しだけ…海鈴さんの声のトーンが下がる。

何を言われるんだろう、そう、思いながら頷くと、彼はそのまま髪の毛を耳にかけ、窓に手を添えた。



「グレンのこと…」

「グレン?あ、グレン、くん?」

「そっちじゃなくて、俺のグレンのこと」


「…あ」

それって、金色の瞳をしたもう一人の海鈴さんのことだろう。


「フェイランから、少しは聞いたみたいだね。今日さ、そのこと聞いた」


「そう、なんですか」


言ったんだ。それなら、きっと…あの牢獄で起きたこともだろう。


< 89 / 513 >

この作品をシェア

pagetop