二重人格神様~金と碧の王~
そんな手をそっと、握ると海鈴さんは優しく微笑み、私の後頭部を抑え、更に強く抱きしめた。
「ありがとう、いのり」
「ううん…」
「きっとさ、いや、きっとじゃないけど、そんなこともあり、グレンは誰も信じてない」
自分はいらない存在だと言われ続けたグレンは表で生きてきた自分とは違いひとりぼっち。
けれど、海鈴さんは何も出来ない。だから、せめてグレンが表にいるときは、ある程度のことは許すと決めた。
「そう、決めたはずなのに、いのりのことだけは、許せなかった。昨夜、少し乱暴にして悪かったよ」
昨夜のことを思いだし紅くなりながら、私は首をふった。
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