[完]バスケ王子に恋をして。
「奈未?聞こえるか?」

俺が向かったのは放送室。

ここなら奈未をすぐ呼べる……。

奈未は呼ばれたら必ず来てくれる……。

俺が「奈未」って呼んだだけでも「ん?」って反応してくれる……。

だから必ず俺のところに来てくれるはず……。

「俺……どうしても奈未と話したいことがあるんだ……」

俺は奈未に本当のことを……

「奈未言ってたよな?ケジメつけたら春樹の隣にいていい?って……もう……ケジメはついただろ?何で俺のとこにいてくれないんだよ?」

言い出したのは奈未なのに……

「やっぱり……俺のこと嫌いになった?」

若干声のトーンを下げて言ってみた。

……そんなこと思ってないのなんて見てみればすぐわかるし……

「俺何があっても奈未の隣にいるから……俺のこと……もっと信じろよ」

これは本心……。

奈未の隣にいたいことも……俺に何でも話してくれるくらい信じて欲しい……。

それと……

「俺待ってるから……ここに会いに来て?つか会いたい……来ないなら……俺から会いに行くから、そっから大事な話するからよ……絶対来いよ?」

そういってから放送マイクを切った。

その瞬間俺は放送室を出て廊下を駆け出した。

奈未……ごめんな?

俺のせいでめっちゃ傷ついて……俺のせいでめっちゃ泣かせてごめんな……?

でも……俺めっちゃ奈未に迷惑掛けているけど……無責任な奴だけど……俺は……奈未のことが……好きなんだよ……


今思い返すと今までいろいろあったな……

俺らが出会って友達が出来て……二人共バスケ部に入ってまた信頼出来る奴が増えて……自分を犠牲にして他の奴と付き合ってお互い傷ついて……そんな中咲羅のホテルや海に行って日向と夏恋ちゃんが付き合って……俺らデートしてお互いの気持ち確かめ合って……そして今……

俺らいろいろあったけど……周りの奴らに支えられてるんだよ……

……そのみんなの期待に応えるのが俺らの役目じゃないか……?

俺達……そろそろ幸せになっていいんじゃねーの?

……いや、幸せになんないとダメなんだ……。

だから……奈未……お互いに素直になろうぜ?

そんなことを思って階段を降りていると誰かにぶつかった。

「キャ!!ごめんなさい!!」

そういって息を切らして顔を上げたのは俺が一番会いたかった人……



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