[完]バスケ王子に恋をして。
でも……二人だけ仕事をしてないのは結構目立ってて……

「夏恋?」

日向くんが心配そうに夏恋に話し掛ける。

一瞬夏恋の体はビクッと反応したけど私達は顔をうずめたまま……

「夏恋どした?お腹でも痛いのか?」

よっぽど心配なのか夏恋の顔をのぞき込もうとする日向くん。

でもやっぱり泣き顔は見られたくないのか必死に顔を私に隠す夏恋。

すると……

「奈未ー……え?日向……奈未達どうしたんだ?」

慌てて私達に近づいているであろう春樹。

「わかんねー……俺が顔見ようと思っても隠されるし……腹痛いのか?って聞いても返事ないし……どしたんだろ?」
「奈未大丈夫か?」

優しい声が私を惑わす。

本当はこんな姿見られたくないのに……さっき以上涙は込み上げてくる。

「奈未顔上げて?」

っ……

そんなこと言われたら顔あげちゃうじゃん……。

「奈未?俺に顔見せて?」

暖かいものが私の頬に触れてつい私は顔を上げてしまった。

「奈未……泣いてたのか……?」

私を見つめる目は寂しくて心配そうに優しい。

「ごめん……」
「……何で謝るの?」
「わかんない……」

そういった瞬間私から体を離して夏恋も顔を上げる。

「夏恋……どした……?」

日向くんの声は動揺してるのか少し震えている。

「日向……ごめん……日向……!!」

夏恋は私の間から出て日向くんに抱きついた。

「う″ーもう無理ー……日向……」
「……わかったちょっとここ出るか」

そういって日向くんは夏恋の手を引いて体育館の外へ出ていった。

「奈未」
「……ん?」
「俺も話したい」

真剣な目で私を見てくる春樹。

「うん……でも練習…」
「大丈夫、5分休憩だから、しかも俺2チームだから次違う」
「うん……わかった……」

私達も無言で体育館を後にした。
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