[完]バスケ王子に恋をして。
「春樹!?」

顔を歪めて足を掴んでいるのは春樹だった。

「春樹大丈夫!?」

処置をしながら春樹をチラッと見る。

「ク……奈未か……?ごめんな?処置してもらって……痛っ!!」
「うん、大丈夫だから無理して喋んないで?」
「……ごめん」

私のせいだ……。

私があの時心配掛けないで休憩の時間春樹がきちんと準備運動していれば……

私がもう少しなんて言わなかったらウォーミングアップだって出来たのに……。

私のせいだ……。

もし私のせいで春樹がバスケ出来なくなったら……!!

そう思うと涙が出てきた。

「おい、奈未替わろうか?」

咲羅がそんな私を見て心配そうに聞いてくる。

「うん、ごめん……」

もうこのままやっても前が見えない……。

私は静かに立ち上がって夏恋の元へ向かった。

「奈未……」
「夏恋……」

私は夏恋に抱きつき泣き声を上げて泣く。

「う″ー……わだじのせいだ……私が……あの時心配かけながったらーぁぁ」
「違うよ?大丈夫……奈未は悪くないよ?」

私をなだめるように優しく背中をポンポンとリズムよく叩く夏恋。

「グスッ……」

上を見ると夏恋も泣いている。

「私も悪いよー……奈未のこと心配させたの私だもん……」
「違うよーぉ……」

二人は泣き声を上げて抱きしめあう。

「どっちのせいでもねーよ……誰のせいでもない。ただ……運悪かっただけだ……」

近くで優しく呟いて夏恋の頭を撫でる日向くん。

春樹は病院に運ばれて行った。

私はその姿にも申し訳なく思ってその場で泣き崩れた。

「……奈未帰るぞ?」

そんな海斗の声も聞けない。

「ヤダ……春樹に謝んなきゃ……」
「でも今日は会えないぞ?明日謝ろうぜ?な?今日は竜基くん帰ってくるだろ?早く帰ろうぜ?」
「……うん」

私は仕方なく帰ることにした。

歩くのもフラフラで海斗の支えがなかったらまともに歩けない。

「こんなんじゃ帰れねーな……」

海斗は海斗のおばさんに電話して迎えに来てくれた。

「……すいません……」
「いいのよ?今のうちに泣きなさい?竜基くんなそんな顔で会えないでしょ?」
「……はい……」

私は家に着くまでずっと海斗の肩を借りて泣いていた。
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