[完]バスケ王子に恋をして。
「お、奈未着替えたか?」
「うん……」

リビングに入るとすき焼きの美味しそうな香りとお兄ちゃんの声が聞こえた。

「奈未ここ座れよ?」

海斗は遠慮してか海斗の隣に私を座らせる。

「おい、大丈夫かよ?」
「え……?」

耳元で囁かれて体がビクッとする。

「竜基くんすげぇ心配してるぞ?奈未が元気ないって」

嘘……?お兄ちゃんが……?

「まぁ……いくら盛り上がれないのはわかるけどよ……竜基くんに心配させるのはよくないんじゃねーの?」

そんなのわかってるよ……。

お兄ちゃんは1年に1回帰るか帰ってこないか……。

去年は帰って来れなかった……。

だからお兄ちゃんには笑顔で帰ってもらいたい……。

そう思ってるのに……

私の頭は春樹への罪悪感しかない……。

「おい、奈未!!すき焼き食べろよ!!全然箸が進んでねーぞ!!」
「あ、うん、ごめん……」

ハッとしてすき焼きに手を進めようとした時……

「きっと奈未ちゃんは恋患いなんだよ♪」

……はいっ!?

その声主は……ベロベロに酔った海斗のおじさん。

「おい、親父……」
「俺知ってんだよ~?奈未ちゃんが海斗より背が高い人とデートしてるの♪」
「はいっ!?」

私はその言葉で箸を落とした……。

「本当なの?奈未!?」
「パパそんなこと聞いてないぞ!!」

その一言でうちの家族は大騒ぎ……

「お父さん何言ってるの!?そんなこと奈未ちゃん知られたくないでしょ!?」

おばさんは今日のことで知っているのかおじさんを怒鳴りつけている……。

「それがなかなかのイケメンで~」
「イケメン!?どれくらい!?」

ママ……そこ飛びついちゃダメだよ……。
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