[完]バスケ王子に恋をして。
ーガシャ

屋上のドアを開けて大きく息を吸う。

そしてそのままコンクリートに座り込む。

今は8月の終わり頃。

まだ暑さが残っている。

ふと、下の桜の木に目をやる。

そこには緑のワサワサと大きくなった葉っぱが木を包み込んでいる。

春樹がプロになる前に二人で木の前に座って桜を見た。

その時に指輪を貰った。

ピンクの小さい宝石がついていてかわいい指輪。

その時春樹は

「俺、プロになっても奈未のこと好きだから、絶対……必ず会いにくるから……待っててくれ」

っと言った。

……ねぇ……あの言葉ずっと信じてるよ?

ずっと……待ってるよ?

何で来てくれないの?

私はまだ春樹の事好きだよ……。

春樹はもう私何か興味なくて違う女の人といるの……?

春樹の事応援してるよ?

なのに……最近会ってないから凄い怖いよ?

ねぇ……もう待ちきれないよ……。

「限界だよ……春樹……」

私は子供のように泣いた。

溜め込んでたものが一気に出たって感じがする。

「グスッ……何で?……バカァ……バカァ……」

何でだろ?

寂しいのに誰かに来てもらおうなんて思わないんだ……。

夏恋も海斗も……。

今は一人でいたい……一人で春樹の時間に浸りたい……。

「春樹の……バカァ……」

私はたくさん涙を拭いた。

だけどいっこうに止まらない。

春樹が拭いてくれたら止まるのにね……。

やっぱり私……春樹しかいないよ……。

「バカァ……」
「誰がバカだって?」



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