[完]バスケ王子に恋をして。
頭が痛い……。
目が重い……。
体が動かない……。
何これ……?
私どうしちゃったの……?
「奈未ぃ……起きて!!起きてよーぉ……」
懐かしい声……。
「奈未……目を覚ましてくれ……」
どこかで聞いたことある声……。
「奈未……俺だぞ……?わかるか……?」
そんな声はいつか聞いた記憶がある……。
誰……?
誰……?
誰なの……?
私……早くみたいよ……!!
その瞬間目が一気に軽くなった。
「奈未!!よかったぁー……」
そこには目を腫らしているママ。
「おい、医者を呼べ!!」
「あぁ……」
特徴のある声……。
「ママ……パパ……お兄ちゃん……」
家族みんな揃っていた。
上は真っ白……隣には点滴……下に入っベッド……。
「ここ……どこ……?」
「病院よ」
「……病院?」
「あれ?覚えてないの?事故にあったのよ?」
事故……。
「そうなんだ……」
全く記憶にない……。
「おい、いいぞ」
お兄ちゃんが誰かを病室に連れて来た。
「……海斗!!」
「よ、大丈夫か?」
「わかんない……」
「だよな……おい、入れよ」
「でも……」
綺麗な声が聞こえる。
まだ……誰かいるの……?
「いいから入れ」
海斗が手を引っ張って招き入れたのは……
背の高くて色白で……目がぱっちりで鼻が高い人……。
いわゆる美少年……。
きっと私は違う場所で会っていたらきっと恋に落ちるだろうってぐらい美少年。
「……奈未?」
綺麗な声が私の耳に届く。
「え……何で私の名前……」
私達今初めて会ったよね……?