[完]バスケ王子に恋をして。
「おい、大丈夫か?死んだ顔してんぞ」

あれから2日。

俺と奈未は会ってすらしていない。

竜基さんにそんなこと言われても

「そうですか」

としか答えられない。

「バスケ休んで正解だろ?」
「……え?」
「こんなんじゃバスケなんて集中出来ないだろ?」

勝ち誇ったように笑う竜基さん。

「そうですね……ありがとうございます」

軽くお辞儀をして竜基さんを見る。

「俺海斗のこと嫌いだから」
「……はい?」

いきなりそんなことを言う竜基さん。

いつもなら何言ってんですか!!なんて言うと思うけど今日はどうしても無言になってしまう。

「人の彼女奪うなんて悪趣味だろ?」
「……あぁ、はい……まぁ」
「それにさ、前まで春樹の事良く言ってたのになんでコロッと変えるかなー……」
「そうですか」

俺の頭にはなんとなくしか言葉が入ってこない。

「それに俺は奈未のこと任せれるのお前しかいないと思うから」
「……え?」
「奈未はお前に会うまでずっと海斗のことが好きだった……なのにお前に会ったらお前になったんだ……それくらい魅力があるんだろ?」
「……そうですかね?」
「だから俺は記憶が戻らなくても奈未はお前に恋をすると思うぞ」
「……え?」

その言葉だけ俺にスッと入ってきた。

「だから黙ってちゃ何も変わらねーんだよ」

黙っていたら何も変わらない……。

そうだ……俺は何を迷ってるんだ?

奈未にいちから知ってもらうんじゃなかったのか?

奈未の過去を全部受け止めようとしてたんじゃないのか?

もう逃げるのはやめようって決めたんじゃなかったのか?

俺何やってんだよ……。

ーガタッ

俺はガバッと椅子から立ち上がった。

「うぉ!!びっくりした」
「竜基さん!!」
「おぇ?」
「ありがとうございます!!俺、奈未のとこ行ってきます!!」

俺はUターンして奈未の病室に急いだ。

「大人になったなー……」

なんて竜基さんが言ってるなんて知らずに
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