[完]バスケ王子に恋をして。

「私と春樹はちょっとしたことで……いや、私が一方的に雰囲気を悪くしたんです」

本当に今だったらどうなってんだよって感じだけどね……

あんなことでヤキモチ焼いてさ……

「でもそんな私を春樹はずっと信じてくれて凄い優しくされてだんだん私が惨めに見えてきたんです……けれど私はそんな春樹を信じられなくて……私は春樹から離れたんです……でも……」

私は一度下を向いて自分の気持ちを落ち着かせる。

そして再び前を向いて……

「その後すぐ私は……春樹の目の前で交通事故に遭いました」

その瞬間ザワザワする会場。

でも私はそのまま話を続ける。

「私は春樹の手を追い払って赤信号のまま道路に飛び出して……春樹の言葉なんて聞かずに私はそのまま大型トラックに跳ねられました」

記者の皆さんを見てみると真剣にメモをしている人や口に手を当てて信じられないというような顔をしている人もいる。

「それだけじゃありません。私が目を覚ました時には……中学2年生でした」

私の発言に意味がわからないという顔をして私を見る記者。

「つまり……私には春樹の記憶がない……記憶喪失になっていたんです」

その瞬間ざわついてた会場がもっとざわつき出す。

「NANAさんそれでは今まだ記憶は戻ってないのですか？」
「赤織選手のことをどう思っていたのですか？」

たくさんの記者の質問を無視して私は話を続ける。

「私はもちろん春樹のことなんて知りません。なので最初のほうはわからなくて不思議に思ってました。でも……どうしても気になって私はいつの間にか春樹と仲良くなってい春樹の存在は大きくなっていました」

記憶がなかった時の記憶はあんまり覚えてないんだけど……春樹が大きな存在になっていたのはたしか……

「私は事故にあったことも記憶がなくなって今本当は高校生ってことも全部教えられて知っていました……でも……みんな一つだけ教えてくれませんでした」

私はチラッと春樹を見ると……深刻そうな顔をして前を向いている。

「それは……春樹と私の関係です」

そう言った時春樹はピクッと体が反応した。

大丈夫……別に春樹を責めてる訳じゃないから……

「私はその代わり春樹には私の幼なじみと付き合ってるって言われたんです……だけど何かその人だと足りなくて……何か違うって思ってたんです。そんな時私は友達に誘われて春樹の試合を見に行くことになって……春樹がプレーしている時……思ったんです……私はこの人が好きなんだって……きっと過去もそうだったんだろうって……」

本当に私はあの時パズルのピースが何かはまった気がしたんだ……