[完]バスケ王子に恋をして。
<もしもし?>
「ごめん、家慌てて出たらカード忘れて中入れなかった」
<バカかって……今「奈未お前んちいるんだろ?」

咲羅と二人で電話してくるんだから大体わかる。

<まぁな……大丈夫か?>
「あぁ、ごめんな?きっと奈未のことだからしばらく帰ってこないと思うから……いろいろ迷惑掛けるかも」
<わかってるって。何年一緒にいると思ってんだよ>
「そっか……奈未何か言ってたか?」

すると無言になった海斗。

「もしもし?」
<春樹が悪いことじゃないけど……奈未のことも少し考えてやって?>
「……は?」

いきなりそんなことを言われてびっくりする。

<奈未もいろいろあるし……焦ってんだと思うぞ?>
「は?何が?」

海斗の言ってることがさっぱりわからない。

<俺からは言えないけど……まぁ、きっと春樹もきっと気づくだろうし……ま、気づいたら電話して?>
「え?あ、うんわかった」

さっぱりわかんないけどとりあえずそう返事をしておく。

<じゃ、奈未に何かあったら電話するな>
「あぁ、じゃあ頼む」

そう言って俺は電話を切る。

「ふぅ……」

俺は深い息を吐いてそのまま辺りを見渡す。

いつもと同じ風景。

奈未が仕事の時は普通に一人でいるのに……今日はなぜか凄く寂しい。

ドカッとソファーに座るとまだ少し残っている奈未の温もり。

その場所をそっと触って寂しさをほぐそうと思ったが……逆に寂しさが増してくる。

喧嘩か……いつぶりだろうか……

もしかして……奈未が事故に遭った日以来かもしれない。

“喧嘩するほど仲がいい”

それは本当なんだろうか……

ただひたすら寂しいだけじゃないか……

一人ただボーっとテレビを見る。

するとNANAが宣伝している化粧品のCMが流れた。

NANAと奈未……

どちらも同じなのにどちらも遠く感じるのはなぜだろう……

奈未がいないと心に穴が開いたみたいだ……

「奈未に最近会ってたっけな……」




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