[完]バスケ王子に恋をして。
「~♪~♪~♪」

両耳にイヤホンをつけてガンガン音楽を聞きながらだんだんパスタが出来上がってくる。

そしてその香りと共に気分が良くなってまさかの熱唱。

だから気づかなかったのかな……

いきなり私の耳から音楽が消えた。

「……へ?」

耳に聞こえるのはパスタを絡めているフライパンの音。

するといきなり後ろに引っ張られた。

「きゃっ……」

すると後ろに温もりを感じた。

「無視とかマジ最悪」

私の耳元で甘い声が囁かれる。

「え……あ、ごめん」
「いつもはチューもしてくれるのにな」
「な!!チューはしてない!!春樹が勝手に「でも拒んでないだろ?」

たしかにそうだけど……

「迎えに来てくれなかったの?」
「ごめん、お腹すいてたしガンガン音楽かけてたから気づかなかった。っていうかパスタ焦げる」

すかさず火を止めて春樹を見る。

「ふーん、ま、いっか」

そしてそのまま春樹は私に軽くキスを落としてお風呂場の中に入って行った。

「……最後のはいらないんだけどな」

茹でダコになっている顔を抑えてから私は再びパスタを作り始めた。

_____________

「お、出来てんじゃん」

春樹はお風呂から出てきてバスタオルで長い髪を拭きながらにっこりと微笑む。

「うん、ちょっと待ってて?」

私は春樹のところにスプーンとフォークを置いて自分の席へと座る。

「「いただきます」」

先にパクッと食べた春樹を見ると……

「ん、うまい」

満面の笑みでそう言ってくれた。

やっぱりね、その言葉は嬉しいな……

「つか、色葉達は?」
「あぁ、そのまま寝ちゃって起きないんだよね。ならいいかなって思って」
「ふーん、あいつらよく寝るな」
「本当にね」

ご飯の時も起きて来ないなんて……

「つか、あいつらどしたの?」
「へ?……あぁ!!」

春樹の視線には狭い箱に入ったままの黒猫達がすねている。

「悪いことしたんだけどね……ごめんごめん」

しばらく反省したのでそのまま狭い箱から解放。

すると猫達は大きく伸びをして私達の周りに集まってきた。

「つかさ、……」

それから私達はたわいの無い話をしてご飯を食べ終わった。


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