[完]バスケ王子に恋をして。
「奈未が海斗のこと好きだとしても?」

その咲羅の一言で俺は歩いていた足を止めた。

「奈未と海斗が両想いだとしても?」

咲羅は続けて話す。

「その恋が叶わないとしても?」
「やめろ」

咲羅が続けて話すのを聞いたことのない俺の低い声が遮った。

「春樹は好きな人が違う人と結ばれるのに思い続けるんだ」
「やめろって言ってんだろ!!」

ーガシャン!!

気が付くと俺は自転車を投げ捨てて咲羅の胸倉を掴んでいた。

咲羅の目を見ると怯えもしないで俺を下から睨んでいた。

「ごめん……」

俺は我に返って咲羅の胸倉から手を放した。

「奈未と海斗が両想いなのは知ってるんだよ……」

俺は弱弱しくその場に座り込んだ。

「でも……俺は……奈未が……好きなんだよ……」

< 85 / 447 >

この作品をシェア

pagetop