[完]バスケ王子に恋をして。
体育館に着くともう人が沢山集まっていた。

「うわ……めっちゃ人いる……人酔いしそー……」

咲羅は苦笑いしながら呟いた。

「おーい!!奈未ー!!」

海斗がこっちに走ってきた。

「誰?」

咲羅が鋭い目で海斗のことを上から下までジロジロと見始めた。

そんな咲羅に

「こっちは羽切海斗。私の幼なじみ」

と紹介した。


同じ様に咲羅を見ている海斗には

「こっちは愛上咲羅。さっき友達になったの」

と言ってあげた。

「はじめまして」

咲羅は軽く挨拶をした。

「あぁ……こっちも」

どうやら二人は親近感を感じたように笑っ
ていた。

「あぁ……そうだ、奈未。お前の席は出席番号順らしいから窓側だ」

思い出したように海斗が教えてくれた。

「ホント?ありがとう」
「うちは?」

咲羅が海斗に聞いた。

「知らねーよ」

海斗は冷たく答えた。

「はー!?じゃ、見て来てくれよ!!」
「は?何で?自分で見て来い」
「ひどいぞ!!奈未のは見て来てやってたのに!!」
「いいだろそんなの。お前は自分で見て来い」
「ヤダー!!」

意外とこのやり取り好きかも。

「ふふ」

つい笑ってしまった。

「なんで笑うんだよ!!」

咲羅が怒ってる。

「面白いなーと思って」
「どこがだよ」

海斗が呆れたように呟いた。

「もう席に着かなきゃ。行こ?咲羅」
「うん……わかった。……あとで覚えとけよ?」

咲羅は声のトーンを低くしと海斗に向かって言った。

「覚えていればな」

海斗は苦笑いして自分の席に戻っていった。

咲羅の席を探してから私も席に着いた。


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