幕末の神様〜桜まといし龍の姫〜
「譲!」
いつになく声を張り上げて、総司は襖に手をかけるや否や一気にそれを開けた。
そして目の前の光景に刀を抜く。
佐伯に手首を押さえつけられ、首筋に刃を突きつけられている譲の姿があった。
譲は必死に抵抗していた。
佐伯は沖田を一瞥すると、にやりと陰気な笑みを浮かべる。
「どうも、沖田組長」
総司と佐伯は一色触発の状況になる。
譲は総司の姿を捉えて、叫んだ。
「総司! ここにきちゃだめ!」
しかし、総司は聞く耳をもたない。
その剣先はいつでも佐伯を仕留められるようにその首に向けられている。