幕末の神様〜桜まといし龍の姫〜
「ねえ」
着替えが終わり、夜の花街を通り抜け、河川敷にさしかかると、総司は足をとめてふいに譲に声をかけた。
「どうしてまた、花街で働いているの?もう働かないって約束したよね?
理由……話してよ」
譲はしばらくうなだれていたが、草原に腰を据えて、話し出した。
土方たちに、不逞浪士と、浪士組の隊士たちの不正を取り締まる監察方の仕事として花街にいたこと。もう一つは資金不足の浪士組のためにお金を稼ぐためだということ。
その際に偶然佐伯に出くわし、正体を知られてしまったということ。
ある脅しをかけられたということ以外、全てを話した。