幕末の神様〜桜まといし龍の姫〜
太陽が天高く昇る刻、容保公をお迎えした浪士組は上覧試合を始めていた。
土方と平助が互いの木刀を合わせ、位置に着く。
離れ際に、平助が小声で言う。
「負けないぜ、土方さん」
平助の挑発をふん、と土方は鼻で笑って流す。
やがて戦いの幕が上がると二人の激しい戦いが始まった。
局長の近藤と芹沢は容保公の側に控え、隊士たちについて説明をしている。
他の隊士たちは手に汗にぎる試合を幕の外で見ていた。
次の試合を行う新八、斎藤、総司、山南はしかし、異変に気付く。
「あれ?左乃と譲の姿がねえな。てっきりここに見にきてると、思ってたのによ」
新八が不思議がっていると、木刀の弾かれる音が響いた。
「勝負あり!勝者、土方歳三」
審判が、手を上げると、平助は悔しそうに地団駄を踏み、土方は余裕そうに、木刀を肩に担ぐ。
「ちぇ、もう少しで勝てそうだったのによ」
「藤堂くん、お疲れ様です」
山南さんが労いの言葉をかける。