幕末の神様〜桜まといし龍の姫〜
食事を終え、腹を満たした譲に斎藤は空になった木椀をお盆にのせながら声を掛けた。
「少し寝ていろ。左之から聞いた。そうとう疲れているらしいな。以前から顔色が良くないと思っていたが」
言われた譲は自分の頬に触れた。
「え……、そんなに顔に出てた?」
「まあな」
難しい表情をする譲に斎藤は布団をかけてやった。
「とにかく、今日ぐらいはゆっくりしろ」
「……うん。分かった。変に心配かけられないしね」
譲は素直に斎藤の言葉に従い、布団の中に潜り込んだ。
譲が落ち着いた寝息をたてはじめた頃になると、斎藤は左之の戻りが遅い理由を察し、ちょうど今、土方に所用ができた斎藤は、皆がいる広間へ向かった。