幕末の神様〜桜まといし龍の姫〜
譲はこらえようとしても止めどなく溢れてくる涙を流しながら、浪士組の門に何も履かず走った。
殴られた頬の痛みよりもずっと痛く、重く、苦しい何かが心を蹂躙していた。
一体、自分の何が間違っていたのだろう。
もう二度と、あの時のように大事なものを奪われたくなくて、強くなろうとした。そうして、自分の居場所を護れればいいと思っていた。
足手まといになるようなことは何一つしていないはずだ。
なのになぜ……?
誰に問うのでもなく、ただ自問自答していても、答えはあてのない堂々巡りを続けるだけだった。