幕末の神様〜桜まといし龍の姫〜
「僕……」
総司はおもむろに腰を上げる。
「探してきます」
「待て、総司」
土方が睨みをきかせる。
「昼の巡察には十番組が当たってる。原田、巡察も兼ねて、あいつを探してくれねぇか」
土方の提案に原田は困ったように首を傾げた。
「そりゃいいけどよ。あいつかそう簡単に見つかるとは思えねえ。俺だけじゃ、限界があるぜ」
「そうだな。とりあえず原田は巡察、それ以外は原田たち十番組が帰ってからだ。いいな」
おう、と皆が頷く。
「俺たちにはあいつが必要だ」
土方が唇をわずかに綻ばせる。
近藤も、ああ、と感慨深く頷く。
皆に少し、笑顔が戻りつつあった。