幕末の神様〜桜まといし龍の姫〜
それは三日前のこと。
いつ頃からか二人は人知れず会っていたのだろう。
最近、夜中に屯所の門をくぐるという人影があるという情報を受け、譲はその人影を尾行した。
そして、その人影はある女子(おなご)と出会う。
はなから待ち合わせをしていたのであろう。
そこにいたのはあぐりと、十番組の隊士、佐々木愛次郎だった。
逢引きの現場に遭遇した譲は、掛ける言葉もなければ咎めることすら憚られた。
あぐりの幸せそうな顔を見ていたら、引き離すことなどできなかった。
仕方なく、譲はその場を後にし、報告に向かった。