幕末の神様〜桜まといし龍の姫〜
暗闇を燃え盛る業火が照らす。
逃げ惑う村人の奇声。飛び交う悲鳴と叫び声。
何百もの幕府の兵が、女も子どもも見境なく殺していき、馬の蹄が砂煙を巻き上げ、地鳴りを起こす。
恐怖心が身体を蹂躙し、急いで家に戻ると、目の前で鮮血が広がった。
何が起こっているのか、思考が追いつかなくて呆然としていると、優しかった兄が、血を流して息絶えているのが、視界にとびこんできた。
さらに、母と父がも血塗れで、浅い呼吸を繰り返していた。
母が涙を流しながら、か細い声で何度も呟く。
『逃げなさい……』
どうすることもできなくて、立ち竦んでいると、やがて、母の口は動かなくなった。
母の隣にいた、厳しくも剣術を丁寧に教えてくれた父も、微動だにしなくなる。
憎悪が胸に渦巻き、譲は怒りに身を任せて、幕府の兵を皆殺しにした。
村中にはびこる全ての兵を殺戮し終えると、炎を鎮火するように、雨が降り注いだ。
譲には、ただ例えようもない虚しさが残るだけだった。
自分たちは、ただ平穏に暮らしていたかっただけなのに…!!
奴らは、自分たちの利益のために、私の大切な物も、居場所も、人も、全部を奪った!!
幕府なんか……人間なんて大嫌いだ!!
譲は強く願った。もっと……もっと……もっともっと強くなりたい。
誰も傷つかない、二度とこんな悲しみを味わうことがないように。
強くなる。
そう、剣に誓った。
逃げ惑う村人の奇声。飛び交う悲鳴と叫び声。
何百もの幕府の兵が、女も子どもも見境なく殺していき、馬の蹄が砂煙を巻き上げ、地鳴りを起こす。
恐怖心が身体を蹂躙し、急いで家に戻ると、目の前で鮮血が広がった。
何が起こっているのか、思考が追いつかなくて呆然としていると、優しかった兄が、血を流して息絶えているのが、視界にとびこんできた。
さらに、母と父がも血塗れで、浅い呼吸を繰り返していた。
母が涙を流しながら、か細い声で何度も呟く。
『逃げなさい……』
どうすることもできなくて、立ち竦んでいると、やがて、母の口は動かなくなった。
母の隣にいた、厳しくも剣術を丁寧に教えてくれた父も、微動だにしなくなる。
憎悪が胸に渦巻き、譲は怒りに身を任せて、幕府の兵を皆殺しにした。
村中にはびこる全ての兵を殺戮し終えると、炎を鎮火するように、雨が降り注いだ。
譲には、ただ例えようもない虚しさが残るだけだった。
自分たちは、ただ平穏に暮らしていたかっただけなのに…!!
奴らは、自分たちの利益のために、私の大切な物も、居場所も、人も、全部を奪った!!
幕府なんか……人間なんて大嫌いだ!!
譲は強く願った。もっと……もっと……もっともっと強くなりたい。
誰も傷つかない、二度とこんな悲しみを味わうことがないように。
強くなる。
そう、剣に誓った。