幕末の神様〜桜まといし龍の姫〜
第一幕 いざ、京の都へ
自らの命を謳う蝉の鳴き声。
錦絵のごとく荘厳で美しい紅葉の時雨。
何にも染まらない、触れれば淡く溶けていく真っ白な雪。
そして―――。
力強く、でもどこか儚く散りゆく桜。
誰よりも一瞬、強く輝いて、そして消えていくその生き様は、幾年もの間、人々の心を惹き付けてやまない。
もう何度、あなたとそんな風景を見ただろうか。
汗水を流して稽古に励む日々。
時には土方さんをいじったり。
色んな境遇を持つ【仲間】という存在ができて。
確かに、幸せをかみしめていた。
時は、十二年流れる。
――近藤さんと、そしてあなたと出逢って十二年という歳月が流れた――。