幕末の神様〜桜まといし龍の姫〜

悩み





******************







今日は稽古もしたくないくらい初夏の割には暑い日だった。





さっきまで地平線近くにあったはずの太陽は、とうに天辺まで昇っている。






総司は、自室の畳の上で何をするでもなく、寝転がりながら、ぼんやりと天井を眺めていた。





今日は、珍しく何もやる気が起こらない。







なぜだろうと考えていると、ぱたぱたと廊下を走る足音が聞こえた。






総司は足音だけで、それが誰なのか判断する。






(譲か……)






そう言えば、今日は吉原に出稼ぎに行く日だったけ。





だからかな。






譲がいなくなるから、今日はいまいち調子が上がらないのかな。





元気が出ないというか。やけに身体がだるいというか。









なんだろうね。この感覚。







総司はふっと鼻で自分自身をあざ笑う。





















< 58 / 261 >

この作品をシェア

pagetop