幕末の神様〜桜まといし龍の姫〜




『終わったかい……?』







部屋の外で譲と名乗った娘の化粧が終わるのを待っていた実風だったが、問いかけても襖の向こうから返事は帰ってこなかった。







『……入るよ』






またしても返事がなく、譲の許可なく入室して、実風は腹を抱えた。








そこにいたのは…。







『ぶっはははは…!!なんだい!?その顔は!』









気高く、見目麗しい花魁にも下品な笑い声を上げさせてしまったもの。








譲の顔はきちんと塗りきれていない白粉に塗れ、唇からはみ出してしまうほどの塗りすぎた紅。








誰が見ても爆笑してしまうとんでもない顔になっていた。









それ以来、譲は化粧の仕方も、重い着物の着付けの仕方も、花街の厳しさも、全てを実風から教えてもらった。









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