幕末の神様〜桜まといし龍の姫〜
この少女を助けなければ、彼女は母を失う。大事な家族というものを失う悲しみを覚えてしまうのだ。
武士とは名ばかりの悪党ではないか。
そんなやつらはいらない。いや、いてはいけない。そんな奴らに、この国を護る資格なんてない。
譲は、全身に怒りをたぎらせ、一歩、前に進み出た。
「お嬢ちゃん!?」
先ほど助言をしてくれた男性が引き止めるように譲を呼ぶが、その声はまったく届かない。
武士たちの飢えた獣のような目がこちらにむく。
「あぁ!? なんかあんのか小娘?邪魔するならお前の命はねえぞ‼‼ やっちまえ!」
その掛け声を合図に、二人の武士は譲に斬りかかってきた。
悲惨な光景を誰もが予測して目を閉じる。
譲は冷静だった。すでに武士たちの太刀筋を見切り、ひらりと刀を避ける。
そして、素早く柄に手を走らせ、隙だらけの背中に一太刀をあびせた。
目にも止まらぬ斬撃をあびた武士たちは絶叫し、ばたりとその場に崩れ落ちる。
広がっていく血だまりを避けて、譲は武士のそばに転がっていた麻布を拾った。
その麻布を少女の手のひらに乗せると、お礼を言おうとした少女を遮って、譲は人目のつかない路地に消えた。
なぜならー、群衆に浮かんでいたのが喜びや安堵ではなく、人を見ているものとは思えない脅威の色だったから。
武士とは名ばかりの悪党ではないか。
そんなやつらはいらない。いや、いてはいけない。そんな奴らに、この国を護る資格なんてない。
譲は、全身に怒りをたぎらせ、一歩、前に進み出た。
「お嬢ちゃん!?」
先ほど助言をしてくれた男性が引き止めるように譲を呼ぶが、その声はまったく届かない。
武士たちの飢えた獣のような目がこちらにむく。
「あぁ!? なんかあんのか小娘?邪魔するならお前の命はねえぞ‼‼ やっちまえ!」
その掛け声を合図に、二人の武士は譲に斬りかかってきた。
悲惨な光景を誰もが予測して目を閉じる。
譲は冷静だった。すでに武士たちの太刀筋を見切り、ひらりと刀を避ける。
そして、素早く柄に手を走らせ、隙だらけの背中に一太刀をあびせた。
目にも止まらぬ斬撃をあびた武士たちは絶叫し、ばたりとその場に崩れ落ちる。
広がっていく血だまりを避けて、譲は武士のそばに転がっていた麻布を拾った。
その麻布を少女の手のひらに乗せると、お礼を言おうとした少女を遮って、譲は人目のつかない路地に消えた。
なぜならー、群衆に浮かんでいたのが喜びや安堵ではなく、人を見ているものとは思えない脅威の色だったから。