velVet undErwOrLd
違うの?と美女は首を傾げた。

恐らく彼女は俺を知っているか、若しくは何らかの根拠があって俺をそう呼んだのだろう。


だけど。



「……わからない。名前、とか。自分の事が」



『クロウ』なんて名前に覚えはない。

じゃあ俺の名前は何だ?
俺は今日まで何をしていた?
何故俺は動けない程に怪我をし、ゴミ捨て場なんかに倒れていた?


どんなに考えても、全てわからなかった。
< 48 / 110 >

この作品をシェア

pagetop