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「一応の手当はしてあるから、しばらくはウチにいるといいわ」


空調の調節をしながら、メイはそう言って優しく微笑んだ。



「ありがとう。……と言いたいところだが、良いのか?女の一人暮らしで、こんな素性も知れない男を置いておくなんて。……ゴミ捨て場で倒れてる男なんて、どうせロクな奴じゃないぞ」



誰がどう考えても正論だと思うのだが、メイはゆっくりと首を横に振った。


「本当に悪い人はそんな事を言わないものよ。……安心して、ここは元々空き部屋なの。好きに使って良いわ」



何だか的外れな回答な気もしたが、よくよく考えてみれば行き場のない俺には願ってもない話だった。




「……ありがとう、メイ」

「いいのよ。……あ、私はクロウ、って呼んでて良いのかしら?」

「あぁ。今まではわからないけど……今日からの俺は、間違いなくクロウだよ」

「……そうね、クロウ」
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