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時刻は午後零時を回った。


エルのしつこい昼食の誘いを腹が痛いからと断り、俺はこっそりとメイの部屋に向かった。

仕事熱心なメイが開店中に自室に戻る事などまず無いだろうが、目的の物がすぐに見つかる保証も無い。
念には念を入れ、ランチタイムで忙しくなる昼時に決行する事にした。



三年も暮らしておきながら、俺がこの部屋に足を踏み入れるのはこれが二度目だった。

一度目は一年ほど前、メイが高熱を出した時に額のタオルを替えに来た時。
幾ら親しい仲とは言えど年頃の女性の部屋に入るなんて失礼だ……なんて言ったら奥手だと笑われた事もあったっけ。

―――誰に?

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