永遠 〜海に消えた恋〜
「どうして?どうして嘘ついたの?
昨日、助けてもらった。
覚えてるでしょ!?」

私は大きな声で、隆に向かって叫んだ。

隆はゆっくり後ろを向いた。

「どうしようもなかったんだよ。」

隆の声を聞いて私は隆のそばまで走った。

「どういうこと?」

「お前、昨日の事言いたくなさそうだったろ。
そしたら、知らないっていうしかなかった。」

「言わない為に知らないって言ったの?」

「そうだよ。あいつら、スゴイ勢いで食いついてきたから。
そうするしかなかったんだ。」

人は、どうしても分からない事がある。

自分ばかり優先して、影で守ってもらってた。

本当に、本当にそうだ。

あの時、隆が本当の昨日の事を言ってたら、私は一番つらい状況だったと思う。

不器用な優しさに気がつかなかった。

「ありがとっ。」

私はそれだけいうと、走って隆の横を通りすぎた。

こんな風に守ってもらうなんて…。

不思議な気持ちでいっぱいになった。
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