桜流れ渡月橋(A探偵団4)

短冊

○原田の部屋、内
   ベッドに眠る原田。
   ケータイがなる。
   原田、目を覚ます。

原田「今日は休みなのに、誰からだ?」
   原田、ケータイを耳に当てる。

山本の声「原田!今日9時から撮影だぞ!
 今すぐ走って来い!」
原田「えっ?先輩、今日9日じゃ?」

山本の声「何を言ってる今日は10日だ!」
原田「ええっ?はい、わかりました!」

   原田、飛び起きる。
原田「なんだって?」
   驚く原田の顔。

○桜花爛漫の嵐山
   桜花爛漫の嵐山の全景。

○川岸
   堤の下の川岸に花いかだの流れがある。
   4,5人の男女のグループがいる。
   少女1、岸辺にしゃがみ込み短冊を拾い上げる。

少女1「まあきれい。何か書いてある。『春惜しむ
 桜吹雪に花いかだ歩いて渡れ舟の渡月橋』なにこれ?」

少女2「どうしたの?」
少女1「これみて」
少女3「アラこちらにも短冊が流れ着いてる」
少女4「なにこれ?」

   皆が集まってくる。
   たくさんの短冊があちこちに流れ着いている。

○短冊の文面
   『春惜しむ 桜吹雪に 花いかだ
   歩いて渡れ 舟の渡月橋』

○京都府警本部
   正面全景。

○同、本部長室、内
   山本本部長、出羽、亀山がいる。
   デスクの上にたくさんの短冊がある。

出羽「いたずらでしょうか?」
本部長「いたずらではない。あの
 渡月橋がもうすぐ消える」

出羽「やはり変面の仕業?」
本部長「私の信頼おける筋からの情報だ。
 間違いない」

亀山「今回はどういたしましょう?
 やはりずっと張り込みますか?」

本部長「ま、とにかく。怪我をせぬよう。
 うまいこと見張ってて、奴が尻尾を出す
 のを待つしかないな」

出羽と亀山、深々とうなづく。
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